腰痛の治療の種類には、以下のようなものがあります。
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薬物療法
急性腰痛や慢性腰痛の治療薬には、主に以下のものが使用されます。腰痛の種類・原因によって変わります。
- 非ステロイド性抗炎症薬
- アセトアミノフェン
- 抗うつ薬
- 抗不安薬
- 筋弛緩薬
- オピオイド
・非ステロイド性抗炎症薬、アセトアミノフェン
「痛み止め」として広く使用されています。炎症を鎮める、熱感を取り除く効果。急性腰痛にも用いられます。
・抗うつ薬*
急性腰痛には用いられず、慢性腰痛に対して使われます。痛みの情報の伝わりを抑える神経経路(下行性疼痛抑制系)を活性化することで、痛みを和らげる
・抗不安薬*
不安などの精神的な緊張をやわらげたり、筋肉の緊張をやわらげます。
・筋弛緩薬*
緊張しすぎて固まった筋肉を緩ませて、痛みを軽減します。
・オピオイド*
強い鎮痛作用を示す医療用麻薬で、脊髄から脳への痛みの伝達をブロックします。
がん治療における痛みや、ほかの薬剤で効果のない強い痛みなどに使用が認められています。
日本整形外科学会ほか監修:腰痛診療ガイドライン2012, 2012, pp. 40-45, 南江堂, 東京, 改変
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神経ブロック・注射療法
痛い部分や神経に局所麻酔薬を注射する方法。
トリガーポイントブロックや椎間関節ブロックなど様々な方法があり、薬物療法と併せて実施されます。
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物理療法
温度や電気、指圧等の刺激で腰痛を軽減する方法です。
- 温熱療法
- 電気療法
- 牽引(けんいん)療法
温熱療法
ホットパックなどで温めて血液の循環をよくし、筋肉の緊張をほぐすことで痛みをやわらげます。
電気療法
電流を流すことで、痛みを伝える神経のはたらきを抑えたり、または苦痛を感じにくくする物質をつくりだしたりして、痛みを抑えます。
牽引療法
機械により腰を引っ張り、筋肉の緊張をやわらげるとともに、腰椎の動く範囲を広げます。
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装具療法
主にコルセットを使用します。腰のまわりの筋肉を補助し、腹圧を高めて腰への負担を軽減させます。
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運動療法
急性腰痛の場合は、安静・冷却や物理療法や薬物療法で対処することが多く、運動や痛みの伴う動きを制限することが多いです。
しかし、慢性腰痛や回復期の腰痛の場合には、痛みがない範囲で、運動療法やリハビリテーションで、体を動かしていくというのが一般的な考え方です。
- ストレッチ
- 筋力トレーニング
- バランス・神経系トレーニング
- ウォーキング
- 自転車こぎ
- 水中歩行、水泳
慢性腰痛の原因によっては、運動制限もあります。お医者さんの診断・許可をもらいましょう。
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心理療法
医師の指導のもとに、痛みに対する正しい知識を学んだり、痛みに対する間違った考え方・受け取り方(認知)を修正したり、学んだこと・わかったことをもとに、実際に行動に移したりすることで痛みをコントロールする心理療法です。認知行動療法とも。